昨日も今日も明日も

馬超殿!」
「寄るな」

一撃必殺ハンマーパンチ、とはこの事か。
馬超の繰り出した右ストレートが綺麗に趙雲の鳩尾に吸い込まれたのを見、姜維は溜息をついた。今日だけでこの光景を4回は見ている。

そのたび趙雲は腹を押さえてうずくまるのだが、
数秒後には何もなかったかのように復活するというのも、3回は見た。

「馬超殿、いい加減許して差し上げては如何です」

隣で同じく4回もこの光景を見た諸葛亮が呆れたように言う。
その言葉に馬超はふんと鼻を鳴らすと、

「仕方あるまい」

と呟き、うずくまる趙雲に手を差し伸べる。

嗚呼友情の何と美しき哉。

胸を撫で下ろし微笑を浮かべた姜維の前で、
差し出された手を取った趙雲は馬超の腹に飛び掛る。

「油断しましたね馬超殿」
「何と…軍師殿、この男とグルだったのか!」

わなわなと身を震わしながら、馬超は目に怒りを宿し諸葛亮を睨みつけた。
それを聞き、盛大な溜息をつく諸葛亮。羽扇で口元を覆うと、

「行きますよ姜維。付き合っていられません」
「し、しかし丞相…このまま放っておいて宜しいのですか」
「いいんです」

振り返るのもいとわしいと、溜息をついて諸葛亮は言う。

「あれで、一番仲が良いんですから」

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