ラヴァーズコンチェルト

「ちょっと、劉封。お前ちょっと右側の頬…あーうん、そこら辺にさ、
 何かついてるよ。いや、ホクロじゃないって。
 いくらなんでもそんなボケしないから。目は正常ですよ。
 大体お前のホクロがどこら辺にあるかぐらい、毎回見てんだから知ってるよ。

 …いや、変な意味じゃなくて。

 そこじゃねーし。違うって、もうちょっと右ね。あーいや、左。
 …なんかまだるっこしいんだけど、俺が取っちゃ駄目?ああ、駄目ですか。

 何ついてるって、…何だコレ?多分さっき食った団子の餡子だと思うけど。
 甘ったるいもん顔につけてると虫が寄ってくるから早く取りなさい。

 ……誰がお前のオカンだよ。馬鹿言ってんじゃないの。
 孟達クンはピッチピチのオトコノコですよ。失敬じゃないのそれ。
 いいから早く取れって。気が散るの!

 ……………………。

 おい、諦めんなよ…。

 だから俺が取った方が早いでしょ?ね、何で嫌なの。
 別に変なことしませんよ!
 指で伸ばしたり?しないって!俺を何だと思ってんの!

 ……いや、確かにそういう事もあったけどさ…
 昔の俺と今の俺は違うから。ね。信じて。

 悪いけどお前のためなら俺は結構真面目に頑張れたりするのよ。本当だって。

 …キモいとか言うなよ!ちょっと、マジで凹むんですけど!
 …いや、いいよ。そんなに謝んなって。いや、本当、冗談!冗談だから!

 ……………まあ、冗談が俺のとりえですからね。

 …だから諦めんなって!
 早く取れって!ああ!ばか!伸びるでしょ!
 場所がわかんないからって全部拭けばいいと思うなよ!
 あーもう…世話のかかる…

 だからお前のオカンじゃないって!!!
 変なイメージつけんのやめてくれる!?やめてくれる!?」

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