エデンは遠く
所詮、俺もお前も生まれたときからの天命とやらには逆らえず。
気付いた時には、俺達は違う道を歩いていた。
否、最初から違う道を歩いていたのかもしれない。
ただその道が、あまりにも近かったから、かわいそうに俺達は混同してしまったのだ。
一本の、同じ道であると、そう思ってしまった。
俺が右足お前が左足。およそそんな感じだろうと思っていたのだ。
一心同体とはいわない。けしてそうは思わない。
ただ、双子のように何か通じ合えるものがあると、そう思った。
けれど結果はどうだ。
足元に転がる兵達の骸、骸、骸。
俺達は血に塗れているところまでは一緒だった。
ただ、俺が味方の血、お前が敵の血。それだけだった、違うのは。
気付いた時には、俺達は違う道を歩いていた。
こっちへ来い。お前が言った。今更何を言う。俺が喚いた。
お前は酷い顔で笑っていた。俺は笑えもしなかった。
憎く思うか。お前が呟く。一体誰を、何を。俺は枯れた声で聞いた。
お前は何も言わない。俺も何も言わない。
結局この世界は、憎しみだけで出来ているのではないか。
たったひとつの楽園を失って孤独になった俺は、そう思って泣いた。