泥沼シーソーゲーム
「お前ってさ」
「なに？」
「幸薄そうな顔してるよな」
「悪いんだけど、本当に悪いんだけど、お前には言われたくないよね」
「何言ってんだ。俺みたいなＴＨＥ福の神はそうそういねえよ」
「どの口がほざいてんだこの口か。ちょっと俺の剣の錆にならないか」
「キャーやめてー劉封くんのちかーん」
「悪いんだけど、本当に悪いんだけど、全くお前に興味がない。ごめん」
「お前、本当、いやなやつだよな。ばーか」
「お前に言われたくないよ」
「なんかさー」
「なんだよ」
「最近、ちょっと腕がなまってきてんだけど」
「知るかよ。ぶんぶん振り回しとけよ」
「ちょ、冷たくない？冷たくない？」
「俺はＴＨＥホットマンだし」
「なあ、やっぱり俺の剣の錆にならないか」
「俺の血、錆付かないもん。多分永久に美しいよ」
「何その自負。どっから来てんの」
「俺は俺のことがだぁいすきだから」
「自己愛かよ…」
「お前もね、ほんと自分のこと愛した方がいいよ」
「考えとく」
「援軍だって？」
「叔父上から再三書状が来てる。結構切羽詰ってるみたいだ」
「無理無理。だって、この間ようやくまとめた山賊を挑発するようなモンよ」
「俺一人でいってもいいんだけど」
「ＴＨＥ足手まといじゃない？あと、俺一人ってやだし」
「別に、皆いるだろ」
「堅苦しい武将言葉使わなくていいの、お前だけなの」
「友達いないんだな」
「あ、マジ、殺していい？殺していい？」
「なんでお前が俺と敵対してんのかな」
「知らないよ。成り行きだろ」
「こんな成り行きってないよね」
「お前にとっちゃ、最初で最後の友達だし？俺」
「馬鹿言うなよ。俺は魏じゃモテモテなの。だからぁ」
「とりあえず、何言うか解ったから、言うなよ」
「だからぁ、そんな地獄にいないで、こっちに来ればいいんだよ」
「孟達、言うなって」
「言うに決まってんだろ」
「なんで」
「俺とお前が、友達じゃないからだよ」
「…知ってるよ、ばーか」
「だからこっちに来いって言ったじゃん」
「お前だけなんだよ、堅苦しい武将言葉使わなくていいの」
「こうなるってわかってたんだろ」
「変に行動力あっから危険視されんの。
俺みたいにヘコヘコしてりゃよかったじゃん」
「やっぱり、お前なんて友達じゃねーよ」
「死ぬほど苦しい。なんでだよ」
「…ばーか。お前のせいだ」